親に縛られた人生。親の希望ではない「自由な人」との結婚を決めたら…家族の縁が切れることに?
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交際当時、私たちはひとり暮しをしており、お互いの家を行き来していました。彼が私の家に遊びにくるときは手料理を作ってもてなし、彼はいつも「おいしいおいしい」と喜んでくれました。「花音ちゃんと一緒にいると、手作りのものが食べられてうれしい」と言われ、私はできあいのものは出さないように心がけていたのです。
そんなあるとき、彼に「洗面所のタオル変えてもいい?」とタオルの収納場所を聞かれ、「本棚の隣だよ」と教えると……。彼は間違えて別の棚を開けてしまいました。
そこは食品パントリーで、中にはカップラーメンやレトルトカレーなどのインスタント食品がいっぱい……。
彼から「手作り派」と思われていた私にとって、一番見られたくない棚を開けられてしまい、とても気まずい気分になりました。
棚を開けた彼は一瞬驚いた表情をしていましたが、明るい表情で「こういうものも食べるんだね」と言ってくれました。そして、彼が幼いころの話をしてくれたのです。彼の両親は共働きだったそうで、レトルト食品を食べる機会も多く、「あの味が体に染み込んでいて、大好き」と言います。
また、「花音ちゃんは、いつも体に気をつかった食事を用意してくれるから、レトルト食品の話はしにくかった」と教えてくれました。彼の話を聞いて、家庭的な女性アピールをすることに必死で私自身も無理をしていたことに気付かされたのです。
この事件が起きたのは結婚の話が出る前でしたが、お互いの価値観や本音を確認できて2人にとって大きな収穫となりました。その後結婚した私たち。お互いの仕事が忙しいときは、レトルト食品も活用しています。
交際中は、彼に「家庭的な女性」と思われたくて、手作りの料理にこだわりすぎていた時期もありました。パントリーを見られた瞬間は穴があったら入りたい気持ちでしたが、結果的にお互いのありのままをわかりあえるきっかけとなり、結婚にもつながりました。本当に大事な人の前では、見栄ばかり張らず自分らしくいることが大切だと感じた一件です。
著者/城井花音
作画/しお
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