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妊娠に欠かすことのできない卵子ですが、みなさんは卵子についてどのくらいご存知ですか? 実は卵子にはみなさんが知らないような不思議な話がたくさんあるんです。卵子のことを知ることで、ご自身の体のこと、命のことをより深く知ることができるかもしれません。そこで、意外と知られていない卵子について、浅田レディースクリニック理事長 浅田義正先生のお話を交えて紹介していきたいと思います。今回は、「低用量ピル」に関するお話です。
ピルは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を合わせた経口避妊薬で、OCとも呼ばれています。エストロゲンとプロゲステロンが脳下垂体に働きかけて、卵胞を成熟させるホルモンの分泌を抑え、排卵を止めます。ピルは、含まれる女性ホルモンの量に応じて、超低用量ピル、低用量ピル、中用量ピル、に分類されています。現在の経口避妊薬として処方されているのはピルに含まれる卵胞ホルモン含有量が50μℊ未満の低用量ピルがほとんどです。
低用量ピルは、安定した女性ホルモンの供給がおこなわれるため、避妊だけではなく月経困難症やPMS(月経前症候群)の改善、子宮内膜症の進行緩和、月経不順の改善、良性乳房疾患や子宮体がん、卵巣がんの発生率抑制などの効果があります。
しかし、初めてピルの内服を始めた直後は、吐き気、めまい、頭痛、不正出血、乳房の張りなどの副作用が出ることがありますが、症状の多くは1~2カ月でおさまっていきます。症状が重い場合は、下痢や嘔吐がおこることもあり、場合によっては、ピルの内服を中断することもあります。また、ピルの最も危険な副作用は静脈血栓症ですが、低用量ピルの開発により飛躍的に改善されています。
ピルは内服を希望されている方が誰でも内服できる薬ではありません。WHOでは経口避妊薬を使用できない人を下記のように定めています。
・授乳中の方
・産後21日以内の方
・35歳以上で1日15本以上の喫煙をしている方
・乳がんにかかっている方、また、乳がんにかかったことがあり3年間再発がない方
・血栓症、高血圧、糖尿病の方
・大手術の前後の方 など
ピルにはさまざまなメリットがある一方、副作用が心配でピルの内服を迷っている方もいらっしゃるかもしれません。
浅田先生は、「ピルは避妊効果だけではなく、月経が軽くなる、子宮内膜症が抑えられるなどのメリットがあります。生理痛は我慢するのが当たり前という考えはよくありません。子宮内膜症は不妊の原因にもなりますし、子宮筋腫や子宮がんなどで毎年1万人が子宮を摘出し、3,000人が子宮頸がんでなくなっています。卵巣がんや子宮体がんのリスクが抑えるためにもピルは飲んだほうが良いでしょう。多少、副作用があるといっても、この事実を放っておくほうがおかしいと思います。
そして、ピルは体に悪い印象があり、成分を気にする人もいらっしゃいます。たとえば、妊婦さんに『まぐろを食べていいですか?』とよく聞かれます。確かにまぐろは有機水銀の量が魚のなかでは多いです。毎日丸々1匹食べていれば影響はあるかもしれませんが、普通に食べている分には問題ありません。レントゲンも然り、2,000〜3,000枚撮ったら流石に影響があるかもしれませんが、普通に健診などで撮る分には問題ありません。すべて少量であれば影響はないので、薬も用量を守って使えば問題ありません」と話しています。
ピルを内服することによって、卵胞を成熟させるホルモンの分泌が抑えられ、排卵が止まります。ピルを飲むと卵巣のはたらきはどうなってしまうのでしょうか?
浅田先生によると、「排卵で生じた傷を修復する際にがんが発生しやすくなると言われており、晩産化・少子化が進んでいる現代の女性は昔の女性に比べて排卵の回数が劇的に多くなっているため、卵巣がんのリスクも高くなっていると言えます。
ピルを内服することで排卵が抑制されるため、排卵の際に卵巣が傷つくということがなくなるので、逆に卵巣の機能保全に役立つと言っていいでしょう。排卵が抑制されていても一定の割合で卵子は減っていきますが、ピルを飲んでいるからと言って、卵子の数が減るとか質が悪くなるということはありません」とのことです。
避妊効果だけでなく、さまざまな効果が期待できる低容量ピル。最近では内服しているという女性も増えてきているようです。低容量ピルは医師の処方がないと内服ができません。きちんと医師の説明を聞き、正しい方法で使用することが大切です。
著者:助産師 REIKO
医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
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