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昨今、日本でも報じられることが多くなっている「生理の貧困」の問題。ムーンカレンダーでは以前、22〜45歳の女性1123名に行った生理の貧困に関する調査結果についてまとめました。
以前の記事では調査結果に加え、日本および世界各国の政府による生理の貧困に対する対策についてもまとめましたが、行政のみならず民間企業でも生理の貧困を解決しようとする動きが広がっています。
この記事では、そうした生理の貧困の解消を目指す海外および日本国内の企業を紹介します。
まずご紹介するのは、オフィスや学校などのトイレの個室に無料で使えるオーガニック生理用品ディスペンサーを提供するアメリカの企業「Aunt Flow」です。2022年4月には850万ドルの資金調達を発表し、AppleやGoogle、Netflixといった名だたる企業にも導入されていることで、話題になっています。
Aunt Flow創業のきっかけは、創業者兼CEOのクレアさんが18歳の時に生理用品がないまま公共の場で生理になってしまったことだったそう。「誰もが生理用品にアクセスできるような社会を実現したい」という強い思いから、同社が立ち上がりました。
今後は企業や大学内のみならず、すべての公衆トイレで生理用品がトイレットペーパーと同じように無料で使えるような社会を実現したい、とクレアさんは語っています。
戦争や紛争、迫害によって故郷を追われ、安全な場所を求めて命がけで移動する難民の存在。難民が直面する困難はさまざまなものがありますが、なかでもほとんどの難民女性が直面するのが生理の問題です。
そんな難民女性たちの生理の問題を解決するために開発された製品が「Looop Can」です。女性たちが簡単に生理用品を洗濯できる再利用可能なキットで、香港出身ロンドン在住のデザイナーが開発しました。
Looop Canのオレンジ色の缶はリサイクルされたスチール缶で、その中には竹素材でできたナプキン、重曹、洗剤が入っています。これらと500ミリリットルの水があれば、女性たちは簡単にナプキンを洗うことができ、約5年間洗濯を繰り返しながら使い続けることができます。さらに洗浄後の水は生分解されるため、環境を汚染することなく、どのような場所にも流すことができます。
ギリシャの難民キャンプにいるNGOへのインタビューを通して生まれたLooop Canは、さまざまなプロトタイプ(試作品)による試行錯誤を経て開発され、ユーザーとなる難民女性の使い勝手が最大限考慮されています。
以前の記事の調査結果からも明らかになったとおり、生理の貧困は経済的ハードルだけではなく心理的なハードルにより生理用品にアクセスできない状態からも生じます。
そうした生理に対する心理的ハードルを取り払うために重要な性教育を、現代の学生たちに合った手法で提供するのがアメリカの企業「Lessonbee」です。
2016年に設立された同社は、Instagramの投稿によくあるようなイラスト付きのストーリーで展開されるオンライン授業を提供。そのテーマは幅広く、うつ病やいじめ、セックス、拒食症、ジェンダーアイデンティティ、栄養などを取り上げています。
Lessonbeeの教材は学校の保健の授業教材としても活用されており、2020年2月には600以上の学校と36万人以上の子どもが学区にいるアメリカ・シカゴの公立学校の公式補助教材として選ばれたそうです。
ここまでは海外の企業について紹介しましたが、日本でも生理の貧困の解決に向かったアクションを起こす企業や団体が生まれています。
その一つがショッピングモールやオフィス、学校や公共施設などの個室トイレ内で生理用ナプキンを無料で入手できるディスペンサーを開発・提供する「OiTr(オイテル)」です。同社は2021年夏にサービスを開始し、2022年5月現在ららぽーとやパルコなどのショッピングモールや市役所、大学など121ヶ所に設置されています。
OiTrで生理用品を入手する仕組みは次のとおりです。まず専用のアプリをダウンロード(ダウンロードするためのリンクはトイレ個室内に掲示)したうえで、個室トイレ内に設置されたディスペンサーにスマートフォンを近づけます。するとディスペンサーの画面から無音声の広告が流れ、取り出し口から生理用ナプキンが出てきます。
つまりOiTrは広告費による収益で生理用ナプキンが無料で提供できるといった仕組みになっており、女性たちが外出先で突然生理になってしまった場合も、プライバシーを保ちながら無料で生理用品を入手することができるのです。
以上、海外および日本国内の民間企業による生理の貧困の解決への動きについてご紹介しました。
このようなさまざまなサービスが生まれつつあるのは喜ばしい一方、例えば「アプリをダウンロード」はスマートフォンを持っていない小中学生には難しいなど、企業の動き=ビジネスである以上”すべての人に向けた”取り組みが難しい側面があるのも事実です。
ただ裏を返すと、持続的な収益が必要不可欠なビジネスであるからこそ、ともすれば無償配布や寄付といった一過性になりかねない取り組みとは別の、サステナブルな生理の貧困の解決方法になり得ることもまた一つの側面です。
官民がお互いの得意不得意を補い合い、歩みを止めないことが生理の貧困の解消に大きく寄与するのではないでしょうか。
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