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今まで生理前に体調や精神的な変化に悩まされたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。その症状はPMS(月経前症候群)と呼ばれています。今回はPMS(月経前症候群)について、原因、症状、治療法について解説します。
PMS(月経前症候群)は、月経の始まる3~10日に出現する身体的・精神的なさまざまな症状の総称で、月経の始まりと共に軽快もしくは消失します。
多くの女性がPMS(月経前症候群)の症状に悩まされていますが、認知度も低く、未だに認識に至らずに困っているという方もいらっしゃるようです。日本では約70%~80%が生理前になんらかの不快感を感じたことがあるようです。そのうち日常生活に支障をきたしているケースが5.4%と言われています。
参考:
※産婦人科診察ガイドライン2017
PMS(月経前症候群)の症状は多岐にわたり、症状は身体的症状、精神的症状の大きく2つに分けられます。
1)身体的症状
・のぼせ
・腹部の膨満感
・腹痛
・腰痛
・頭痛
・乳房(胸)の張りや痛み
・むくみ
・体重増加
・関節痛、筋肉痛 など
2)精神的症状
・イライラする
・気持ちが落ち込む
・不安感
・情緒不安定
・興奮しやすくなる など
PMS(月経前症候群)の症状のなかで最も多いと言われているのがイライラ、次にのぼせ、腹痛・下腹部の痛み、腰痛、頭重感、怒りっぽくなる、頭痛、乳房の張りや痛み、落ち着きがない、憂うつと続きます。またこれらの症状は1つだけではなく複数現れたり、月によって現れる症状が異なるなど、いろいろな組み合わせや変化が現れるのも特徴です。これらの症状は自分でコントロールしようと思ってもできないことが多く、多くの女性の悩みとなっています。
PMS(月経前症候群)の原因については実際にはよくわかっていませんが、月経は女性のホルモンバランスに影響を与えるものであるために、PMS(月経前症候群)も女性ホルモンが影響であるというのが1つの説となっています。
排卵が起こった後に女性の体では、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2つの女性ホルモンが大きく変動します。エストロゲンは、乳房や子宮を発達させ女性らしくなる、自律神経のバランスなどに影響し、その他、骨や脳、皮膚の働きにも関与すると言われるものです。プロゲステロンは子宮内膜の厚さを維持して着床しやすい状態にし、妊娠を継続させる役割を持ち、ほかに体内の水分バランス維持、食欲増進、基礎体温を上げる役割を持ちます。
この2つの女性ホルモンが排卵後から生理が始まるまでに同時に分泌量が上昇するために、PMS(月経前症候群)を引き起こしているのではないかと言われています。
参考:
病気がみえるVol9 P36 月経前症候群 (メディックメディア)
基本的に治療は対処療法となり、カウンセリング・生活指導、薬物療法をおこないます。
カウンセリング・生活指導は、基礎体温と合わせてPMS(月経前症候群)の症状、その程度について記録することで、症状が現れる時期が明確になり、診断も確定的なものになります。また適度な運動や規則正しい生活・食事を心がけるなどの指導もします。
薬物療法は、精神安定剤や痛みに対する鎮静剤やむくみに対する利尿剤、漢方薬などが処方されます。また、低用量経口避妊薬(ピルなど)やLEP(エストロゲン・プロゲステロン製剤)などのホルモン剤により、一時的に排卵を止めることで症状が軽快させるという排卵抑制療法がおこなわれます。
PMS(月経前症候群)の症状は、多岐にわたり、波があるというのと同時に自分でコントロールすることがむずかしいという点でも女性を悩ませています。PMS(月経前症候群)について理解し、ご自分の月経前の体調不良の原因を知ることによって、対処できると良いですね。
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